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「送り火の蛍」縦型バンスリカバー ~あとMixのこととか



『送り火の蛍』縦型バンスリで演奏してみた
僕が2012年の6月頃に公開した「送り火の蛍」を、風地さんという方がカバーしてくれました。
歌ではなく、「バンスリ(縦型)」という楽器でのカバー。
「バンスリ」という楽器を僕は知らなかったんですが、ちょっとググッてみたところによると、「竹で作られたインドの笛」だそうです。
通常「バンスリ」と言うと横笛らしいのですが、縦笛のバンスリもあるらしく、風地さんが使用されたのはそっちとのこと。
「縦型バンスリ」とか「バンスリ(縦型)」というのが正式な呼称だそうです。

風地さんによる解説ツイート(1)


風地さんによる解説ツイート(2)


僕は、楽器の音域に合わせてキーをシフトさせた音源を提供したのと、あとMixで応援させて頂きました。
ラストの方はフレーズラインが3重くらいになるんですけど、各ラインの帯域が似通ってたので、どう捌いたモンか悩みながらの作業でした。

Mixは表現
昔、Mixについてアレコレと模索を始めようとしてた頃の僕は、「Mix」とか「ミキシング」という言葉の響きに、何やら技術的なイメージを抱いていました。
技術=すなわち正解めいたものがあって、良し悪しはそれに対する到達度合いによって決まる的な。
でも、Mixというのは表現の「手段」で、上位にある「表現目的」の違いによって色々に変化するものだというのが、最近の見解です。
「Mixに正解なし」と言われる所以ですかね。実感としては「正解なし」と言うよりも「正解を自分で定義しないとダメなやつ」っていう感覚ですが。
Mix、まぁ技術は技術なんですけど、およそ技術という技術にはほぼ例外なく「行使目的」というのがあって、音響技術的なモンにもそれが当てはまります。
その「行使目的」について、自分なりの考えやスタンスがまとまってきたという所でしょうか。

今回のカバーではMixの方針が原曲と大きく異るところがあるんですけど、その違いは正に、風地さんと僕とで「表現したいこと(=表現目的)」が違うことに由来しています。
「送り火の蛍」の原曲は、4:10あたりから派手なオケの盛り上がりに乗って「オクリビサマー・・・オクリビサマー・・・」というコーラスと、それから巡音ルカのスキャットが入ります。
カバーと原曲とでMixの方針を変えたのは、このセクションですね。

風地さんの表現目的
風地さんがここで目的としたのは、「見送る側の感情を描くこと」でした。
原作ではメインボーカルである巡音ルカが「見送る側」なので、これが歌っているスキャットが「見送る側の感情の動き」に相当します。
従って、カバーではスキャットのフレーズを一番前面に出して、その背後に「オクリビサマー」のコーラスとオケというMix方針になりました。

僕の表現目的
一方、原曲を作るときに僕が目的としたのは、「地を埋め尽くす蛍が一斉に舞い上がっていくシーンを描くこと」でした。
ちょうど、七歩さんがイラストで描いたシーンと同じイメージですね。
月へ向かって一斉に舞い上がる蛍は視界を埋め尽くし、たった一人の女の子の感情など容易く掻き消されてしまいます。
この目的においては背景描写であるオケが一番重要で、次にコーラス。スキャットは頼りなく一番後ろに配置する方針になります。

この辺り、初版である動画サイトのMixだとイマイチ上手く出来てない所があるんですが、音源の差し替えができるSoundCloudでは何度かリミックスして改善を図ってるので、興味のある方はカバーと原曲を聴き比べてみて下さい。



こんな風に、表現者の意図によってMixの方針に違いが出るのは面白いですね。
違う表現を目的とした同じ曲を同じ人間(ぼく)がMixしたから実感できたことですけど、なかなか得難い機会でした。

楽しかったです。


その他のカバー


このブログでは紹介してなかった(と思います)けど、「送り火の蛍」はもう1つ、ようちゃさんという方がカバーしたバージョンがあります。
とても見事な歌唱で、風地さんがカバーする時も参考にされたそうです。
併せてお聴き頂ければ。
こちらもMixは僕が担当してます。

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プロフィール

一譲 計

Author:一譲 計
FL使いのDTMer。テンションが上がると音圧が下がります。
空想的・幻想的なモチーフが好き。オーケストラを多用します。
デジタルお絵描き初心者です。2015年の暮れから練習を始めました。
楽曲はWebサイトからご案内しております。

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